2009年11月2日月曜日

学芸員:堀口勝信さん・・(展覧会開催に至る10の試練)

 機械帝国の次の展覧会の企画を進めて行く中、RPGのドラゴンクエストのように、ひたすらいろいろな方に会いに行く事を続けていました。

 原美術館の学芸員の堀口さんとの出会いは、プラスマイナス・ギャラリーでの個展の時のサイン帳でした。後日、連絡を取って会いに行ったのは、その三年後ぐらいだったと記憶しています。
 岐阜でのMIG'95のイベントで新作も数点あり、堀口さんの考えていた「機械帝国」の企画にピッタリだったようです。

 百貨店の美術館や、美術展の企画団体(読売新聞・日経新聞)、公立の美術館に企画を相談するため推薦文を書いていただきました。

※この数年後に堀口さんはニューオータニ美術館に移られました。


推薦する作家:吉田正人+いとう ともこ


 90年代、現代美術は混沌と拡張のただなかにありますが、そのなかでメッセージ性のある作品、私達に刺激を与え新鮮な発見をさせる作品は、これからの世妃にも重要であることは疑う余地がありません。吉田正人+いとう ともこ氏の作品は、美しく研磨した金属素材を用いてテクノロジーを駆使した機械(明らかに人型ロボットのような形態のものも多い)でありながら、私達が「機械」という言葉から連想する「合理性」や「非人間性」とは対極にある表現が絶妙です。「Ji-danda」「Jita-bata」といった、人間らしい仕草(地団駄を踏む動作、じたばたする動作)をする作品が、改めて人間という存在について考えさせる点に注目すべきでしょう。ロボットのようなものを見ると、私達はなんでもできる機械を期待しますが、吉田正人十いとう ともこ氏の作品はどちらかと言えば1つ、2つの動作に限定されていて、それがかえってユーモアを生み出し、私達の想像力を膨らませるものになっているのです。
 色々な物語が生まれてきそうな作品を作り続ける吉田正人+いとう ともこ氏を私は推薦致します。
推薦者:堀口勝信(原美術館 学芸員)
1998年10月11日

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