2009年10月8日木曜日

浅葉克己さんの名刺がたまると・・・(展覧会開催に至る10の試練)

表紙撮影=近藤昌信さん

 機械帝国の次の展覧会の企画を進めて行く中、RPGのドラゴンクエストのように、ひたすらいろいろな方に会いに行く試みを続けていました。

 横浜ランドマーク・タワーでのクリスマス・チャリティー・アートツリー展でご一緒させていただいた後に、浅葉克己さんと、しばしば美術展のオープニングで同席する機会があり、浅葉さんは会う度に名刺交換をします。
 事務所にお訪ねしたときに、いとうが「名刺が十枚たまるとハワイ旅行ご招待ですか?」と冗談で話すと、「そうそうそう。ハワイご招待です。」と浅葉さんが笑って応対して下さいました。

 作品集や展覧会のグラフィック関連の話題のほかに、浅葉さんはその時、トンパ文字の書を制作中で、いくつか見せていただきました。
 そして、中国に行ったときの体験をお聞きしたり、卓球の愛ちゃんと一緒のチームで中国に行き親善試合をしたりと「卓球を続けているから老眼になっていない。」など日常的な話も聞く事ができ、また、本題の作品集の事も一歩前進して、得難い時間を過ごす事が出来、お土産にトンパ文字の書をいただきました。

 浅葉さんはその時分、「宣伝会議」の表紙のADもされていましたので、機械帝国の「Doki-doki 1」の写真を表紙で、また「今月の表紙」で吉田といとうをご紹介下さいました。



今月の表紙

 吉田正人+いとうともこさんの創り出すハンサムなロボットは魅力的だ。
 コンピューターグラフィックスはバーチャルな空間の中にあるが、このハンサムなロボットは触ることもできるし、音や光も具体的に出してくれる機械文明の中でうごめいているが、その中からすべてがていねいに抽出されたカタチを面構築してゆく作業にはカオスを感じることができる。
 ぼくは、アートディレクターのご本尊派は千手観音だと思っているので、京都へ行くたびに、密かに祈りを捧げている。あの位手があって全部が動いてくれたら凄いことになるなあと思う。人間の想像を絶するような機械よりも、アートの分野では、原初的なかすかな動きの方が感動を呼ぶ。最近は、あまり見かけなくなったがブリキのおもちゃなどはその一例だ。そうか、北原照久さんのブリキのおもちゃは博物館入りしちゃったんだなあ。僕の机の上には、アフリカのケニアから買ってきた、単純なおもちゃが乗っている。
 すごく気に入っている。ふたの部分にカエルがついていて、それを引くと中から蛇が顔を出す。このばかばかしい程、単純な動きがたまらなく好きなのだ。
 二人が創り出す精密なロボットもますます人間的になってほしいと思っている。
浅葉克己(アートディレクター)
※宣伝会議1996年12月号・「今月の表紙」撮影=浅葉克己さん

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