2009年8月19日水曜日

Algorithm of person type (ヒトガタのアルゴリズム)

 “知識”や“生体”の一部は人工的な物と代替可能になってきた。ちまたでは、数年前までは、人間性の一部と思われていた“あいまいさ’’さえも、プログラム・機械化され、それをキャッチフレーズにした商品が次々に生まれている。
 そういった背景を踏まえたうえでも、同化可能なものが、無機と有機(モノ性とヒト性)の間にあって、それらを繋いでみたい。
 もし、繋ぐことができるならば、その実現を「ヒトガタ」を通して表現できるアルゴリズム(思考手順)で考えてみる。

 「ヒト」をどんどん還元していくと、最後に何が残るのか。何が、無機と有機を分けへだてるのか。自分を構成する成分表から、それぞれにより分けてみる。そして、それらと各パーツとを併せて「ヒトガタ」を構築するとき、図らずも、「ヒト」の一部をシミュレートする事にならないだろうか。また、そうした行為や作品からヒト性を確認できると、安心も生まれる。

 例えば、以前、配線が透けて見える神経系が露出したような、電子的なものを形にした作品を作っていたことがあった。それは、センサーを軸に、周り(観客)と関わりを持たせるような形で、電子的模擬装置の印象が強く「遊ばせてくれるが、作品の内側にはたどり着けない。」そんな不安を生む作風だった。
 例えば、「ヒトガタ」のステンレス・スチールマンは、その堅固でハイパーな装いが為に、意志疎通の困難(不可能)な機械で、生物とは相いれない。鉱物的な印象に見える人もいるだろう。

 ハイパーな無機と有機のインターフェースを考えたとき、生身の肉体に機械や装置が取り付けられる事を想像するよりも、合理的ではないが、ステンレス・スチールの肢体に“ヒト性”が宿る事を創造する方が、心の安らぎは大きい。
(※1991年作成-2009年8月19日加筆)

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